詩・その他


by superkavi

『幻想回向』


鍵盤が風に舞うとき
心の奏でる音色がある
生まれなければと嘆くには遅すぎて
涙を宝石にして差し出したあの日
音律だけがいくつも身体を打ち抜いた

もう戻らない帰らない
かすんだ心で先は見えない
搾り出した叫びで
掴んだものを抱きしめる
ある人はそれを思い出と呼び
ある人はそれを未来と名づけた

魂がどこから来てどこへ行くのか
知りもしないし知りたくもない
降り注ぐ音の色彩が
無色透明のこの魂へと
ただ静かに染め付けて

誰か弾くピアノの音
螺旋の捻じれを駆け上り
人であるものをバラバラにして
宇宙(そら)へ還そうとする
それのみ我が傍らにありて
零れる何かを拭っていった
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by superkavi | 2007-06-06 13:40 |