詩・その他


by superkavi

カテゴリ:詩( 18 )

お料理


悲しさに耐え切れず
なんでもいいから玉葱を剥くことにした

ぽろんぽろん
一皮二皮

ぽろんぽろろん
目が痛い

鍋に玉葱突っ込んで
悲しみと憎しみの下味で
グツグツグツと

心をちぎってバラバラ入れて

目を腫らしながら
ぽろろんぽんと流れ出る
涙も鍋に入れましょう

煮込んで憎しんで悲しんで

元の形が分からなくなるまで
ことことこと

誰にも気づかれないように
そっと蓋


(2003年4月9日の作品)
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by superkavi | 2007-10-11 02:03 |

探し物


脳をばらして
君の記憶を捜してみたけど
どーこにもいないんだな

誰だっけ?

僕の胸が開いてその奥から
はずかしいラブソング

ああ
これは君の歌
僕の心を震わせる

この世でたった一人の

ああ、そうだ

君は僕の好きな人


(2003年4月1日の作品)
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by superkavi | 2007-10-11 02:00 |

理由



湧き上がる孤独は癒えることなく
ただ戦いの日々のみがくり返される

傷つきそれでも立ち向かわねば
明日の事すら見えては来ない

なぜここに生きているのか
どうして生まれ出でたのか

そんなことを考えたとて
心の始原なぞ見つかろうはずも無い

ああ、まだ見ぬ人よ
この世に生きてあるのなら
ともに生きてあるのなら

再会の喜びを涙で語ろう

互いの傷口で結ばれよう

それまで僕は
砂を噛んで耐えていよう


~(2003年1月5日の作品)~
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by superkavi | 2007-09-23 00:51 |



泣きたい時は泣けばいい
涙を流せばそのぶんだけ 
君は優しくなれるから
そして
少し強くなれるから

涙は美しい水の惑星の
あたたかい贈り物

命を潤す水も
生命を育んだ海も
恵みの雨も

すべては君の涙の中

君の涙は
すべてのもの支えて廻る


~(2003年1月4日の作品)~
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by superkavi | 2007-09-22 18:07 |

恋歌



感じてごらん
暗闇であっても僕はいる
姿がみえなくても
声が聞こえるだろう
息遣いがわかるだろう
体温を感じるだろう

君がすべての五感を失ったとしても
君が望むならば
僕は君の夢のなかにだって現れよう

君が僕を必要としてくれる限り

たとえ僕の体が朽ち果てても
生きとし生けるものたちの中に
僕を見るだろう

あるいは風となって君に囁こう
雨となって君と共に涙しよう
木漏れ日となって共に微笑もう
荒らしとなって共に怒り狂おう
月光となって君を抱きしめよう

君がそれを望む限り
僕が消えてなくなることは無い


~(2002年7月25日の作品)~
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by superkavi | 2007-09-22 02:19 |

言葉を線路に置き去りにした
電車に踏まれてさようなら
踏まれたものも踏んだものも
誰も気づきやしないけど
俺は言葉を失った


便器に向かって言葉を出した
それた言葉が寂しく零れた
だって男の子だもん
不潔と罵られたって
そんな日もある


いたたまれずに酒を飲む
飲みたいものは違うのに
ガソリン投下、罵詈雑言
燃えるなら君にだけ
と思うのに


むかし埋めた言葉探して
そこかしこを掘り返す
穴に嵌るだけで何もない
そう、なにもない
なにもないんだ


言葉がなけりゃ戦争は、もっと少なかったろう
形なきものに縛られて
売り言葉に買い言葉、同じ人が殺し合う
命がその対価というほどには
言葉に価値なんてありゃしないのに


逸る呼吸と高鳴る鼓動
それだけあれば君に伝わる
言葉なんていらない
幾千万の言葉をついでも
一言で潰されてしまう言葉より


置き言葉をしても脱線はしない
言葉がそれたってトイレは汚れない
言葉を燃やし尽くすなら酒でないほうがいい
思い出なんて忘れてりゃいい
言葉に縛られるのならいっそ
俺は君に縛られたい


証にすれば罵られ
言葉にすれば責められて
君を見失うよりも
届いて欲しい
サイレント・ヴォイス
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by superkavi | 2007-07-16 01:54 |

『視線』



心の瑕(きず)を消せる消しゴムがあるのなら
きみのためにそれを買おう
埋めることのできるパテがあるのなら
きみのためにそれを買おう
瑕ついたあの頃に戻れる機械があるのなら
きみのためにそれを買おう

どこに行けば買えますか
買うのにどれだけいるのですか
何か資格がいりますか
そう願うのは愚かしいことですか


君の胸にそっと手を当て
静かに見つめることだけでも


それもかなわぬ境遇ならば


これらの思いを紙に書き
あなたに届けと
紙飛行機にして飛ばしてみた


思い届かぬ距離ゆえに
紙飛行機は地に落ちて
天気予報の言うとおり
雨が
きたいを濡らしていく


出来ることというならば
紙飛行機に傘差し出して
心の雨からかばうだけ
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by superkavi | 2007-06-12 23:47 |

『キェルケゴール』


マフラーをくれた女がいた
下手だけれど一生懸命編んだの
というそれはお世辞にも上手くはなかったが
俺の心を暖めはした
一度も会うこともなくそいつは
他に好きな人が出来たからと消えた
俺たちは
はじめから解(ほつ)れていたに違いない


いっしょに暮らそうと
金はなかったが
俺は女にいった
あたしを殺す気?
とその女は俺を殺人者にしようとした
そいつは違う男と結婚するらしい
死んだのは
俺の心のほうだった


飛び込んだ女がいた
俺に飛び込まずに
レールが引き裂いたものが何か
俺は知らない
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by superkavi | 2007-06-12 01:58 |

『溺死』



気に食わないので
ジャスミンティーを投げつけてやった
水よりは好きさ
ちょうど2分が飲み頃なので
時間はばっちりだ
俺がふいてやるハンカチなど持たないことは
知っているだろう?
あたりまえだ
そんなものは
水を投げつける奴に言え
腐ってる奴に水をかけるぐらいなら
俺はお前に
ジャスミンティーを
ぶっかけておいてやる
悔しさに溺死して
生まれ変わるがいい
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by superkavi | 2007-06-11 22:51 |

『穢土情歌』


この世界を捨てて 汚濁にまみれるこの世界を嫌って
多くの人は星の彼方に 新しい世界を求めた
清浄なる愛を求めて


この世界で一番不幸でいるからそれを目印にしてと
僕に告げた君を探して この世界に這いつくばる


見捨てられた桜の樹の枝に 女が「怨みます」と
絶望が流れる河に 女が「探さないで」と
希望というネックレスを引き裂いて 男が「信じない」と
それがこの世界の様


もう諦めろと 白いカラスが歌うけれど
僕はまだ 世界一不幸ではないから大丈夫と言い聞かせ
君を探す


苦しむ君を思い 寂しさに打ち震える君を思い 
耐え難いこの世界の有様に 流した涙を宝石にして
君に渡そう
それはきっと 清浄なる愛の世界では手に入らない
深い色をたたえた たった一つの


今日も日が暮れる 悲しみの夜が来る 寂しさに震えても涙しても あきらめない

この寂しさがいつか 君と抱きしめ合うそのときに 
僕の心を詩ってくれるであろうから
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by superkavi | 2007-06-11 13:19 |