詩・その他


by superkavi

カテゴリ:詩( 18 )

『魂の牢獄で』


男は魂の牢獄で一人 
鉄格子の窓から月明かりだけが

自分は何をしてきたのだろう
ずっと捜し求めてきた 
叫んできた愛が
今ほど遠く感じたことはない

つながれた男は孤独で 
すでに若くもなかった
世界の暗闇の中で魂の牢獄に囚われ
自分の人生の徒労を嘆く

詩に織り込んでもそれは届かず
心から与えても相手には響かず
こうして一人牢獄に 
無力に零れた涙一筋

そっと差し込む月光が頬を撫でる 
窓からかすかに風が囁く

牢獄の片隅でクモがこう語る
ここは魂の牢獄 
ではおまえのいままではどうなのだ
嘆くおまえの人生と 
この魂の牢獄になんの違いがあるというのか
おまえの心が 魂が 絶望が作り出す牢獄 
ただそれだけのこと
わたしが自ら吐き出す糸の上を 
自由に行き来するように
おまえも心の自由を得るがよい


涙に濡れた男の瞳に一筋の月明かり 


手には届かなくとも見ることはできる
こらえ、信じて、それでも愛が遠くても駄目でも
それでも耐えてひたすらに
月光の中に身を置くように 
愛の光に身を横たえよう

魂の牢獄にいても
そこから抜け出ても
愛がなければどこも牢獄なのだから 

この牢獄の中でさえ月の光が差すと気づいたように
牢獄に自らをつなぐのは 
自分自身なのだということを
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by superkavi | 2007-06-09 15:08 |

『流星群』


心が切り裂かれ涙は星になって
君は呟いたね 
何を愛していたのだろうと

星になった君の涙を 
僕が一粒指で弾いて
未来に零れる流れ星に変えた

満天の星空は君の美しい涙
とめどなく頬を伝う星たち

僕は呟いた 
それでも愛していたのでしょうと

君の嗚咽が星を創る 
僕がまた 
一粒指で弾くと
すべての涙が静かに未来に流れていった

漆黒の闇を見て 
愛はないのねと 
また涙を一滴流して君は

暗闇から月が君を照らしてこう諭した
暗闇の向こうに月は輝いているのだよと

僕は君の一粒の涙を指ですくい
口に含んで囁いた
泣きたいときは泣けばいい
君の涙が枯れないように
愛もまた 
枯れることはないのだから
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by superkavi | 2007-06-09 15:02 |

『幻想回向』


鍵盤が風に舞うとき
心の奏でる音色がある
生まれなければと嘆くには遅すぎて
涙を宝石にして差し出したあの日
音律だけがいくつも身体を打ち抜いた

もう戻らない帰らない
かすんだ心で先は見えない
搾り出した叫びで
掴んだものを抱きしめる
ある人はそれを思い出と呼び
ある人はそれを未来と名づけた

魂がどこから来てどこへ行くのか
知りもしないし知りたくもない
降り注ぐ音の色彩が
無色透明のこの魂へと
ただ静かに染め付けて

誰か弾くピアノの音
螺旋の捻じれを駆け上り
人であるものをバラバラにして
宇宙(そら)へ還そうとする
それのみ我が傍らにありて
零れる何かを拭っていった
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by superkavi | 2007-06-06 13:40 |

夜空を剥ぎ取って
この心を包むことができたなら
あなたの宇宙(そら)を飛べたでしょうか

星をつかまえて
髪に飾ることができたなら
果てしない大海原を
あなたまで導いてくれたのでしょうか

誰もいない真っ暗な海で
聴こえるのは悲鳴にも似た風の音
投げ出した足の上に横たわる記憶は
波間に流され見えなくなる

帰るべき場所は砂に埋めて
船出した日も遠く
信じるという櫓は折れ
それでもこの手で掻き寄せる
この船を壊して波に飲まれれば
あなたを独り占めできたのでしょうか

波か涙かもうわからない
一つの星が流れていく先に
あなたがいると誰かが囁く
手放してはならない大切なものならば
この愛に泳ぎ疲れても



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ZARD「この愛に泳ぎ疲れても」のオマージュ
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by superkavi | 2007-06-05 04:33 |

『青いバラ』


君の心の隙間から 
時の音色が聞こえる時
僕の青い心は大空に溶けて

君が絶望の炎で世界を焼くときがきたら
僕の青い心がさめざめと天から零れて
君の世界を青く染めるよ

壊れた僕の心から青い青い涙が
君の世界を
絶望の炎を吹き消してそこに
青いバラを咲かせよう

特別じゃない君の悲しみに僕が沈んでしまっても
君の心に青いバラを咲かせよう

否定し 
それでも在ることを信じる僕の心が愛を
そう 
愛を

不可能の代名詞 
青いバラで咲き乱れた君の心に

そっとそっと隠しておこう

君が青いバラを摘む時がきたら気づいておくれ
あるいは
君が再び世界を焼くとき 
青いバラを焼き尽くしたとき気づいておくれ

否定し 
それでも在ることを信じた僕の心が
そこに愛を 
君への愛を 

そっと隠していたことを
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by superkavi | 2007-06-05 03:15 |

世の中にはいつも恋が溢れている
そこかしこ失恋も含めれば
見渡す限り恋が溢れる

若きものは知らぬ間に恋に墜ち
老いたものは過去のシグナルを見つめる
一方的に見つめるだけのものだから
きっと恋が溢れるに違いなく
一人で食べる命の糧が恋ならば
食べられなくて残された残飯だけが失恋と呼ばれる

選ばれなかったものは
消えていくより他になく
作られることのない片思い
売り込むこともされないままに

捨てたものは捨てられたものを忘れ
忘れられた残飯で露命をつなぐ人がいる
思い出の残骸だという人もいるだろう
それでも人は求めることを辞められず
放り出されたむき出しの寂しさを
見知らぬ肌のダンボールで温めようとする

ただ
共に作り、笑い、食べ、眠る
温めあって一緒に泣いて
生きてそして死んでいく
誰かと二人で居たいのです

一人で食べて満足な
そんな恋はいらないのです
世の中に溢れていても

捨てるぐらいの愛でいいから
もしそんなものがあるのなら
抱きしめあって眠りたいのです
捨てるぐらいの

愛でいいから
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by superkavi | 2007-06-04 14:11 |

『紅い薔薇』


互いの心に根をはって
咲いてくる花がある

咲いた花なら散るのが定め
散った花びら互いに撒いて
毒の花でも祝福を

悲しいときには涙を注いで
楽しいときにも涙を注いで
間引いた葉っぱを握り締め
今日もあしたも育てよう

青い薔薇なら祝福を
赤い薔薇なら救われる
黄色の薔薇でも薔薇は薔薇
たとえばそれが薔薇でなくても
あなたと二人で薔薇と呼ぶ

心をつないで咲く薔薇の
棘に心が裂かれても
互いのくちびる裂け目ふさいで
淋しく渇く二人の心に
そっと雨を降らせよう
あなたと二人で痛みに打たれて

赤い薔薇
その花言葉が愛であるのは
あなたと二人流した血潮で花弁の色が染まるから
互いの裂けた傷から流れる
二人の心の軌跡が織り成す
たった一つの
タペストリーなのだから
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by superkavi | 2007-06-03 21:09 |

『パッション』


愛するということに
答えはない
愛したということにも

そしてきっと

という言葉の中にすらも

かつて死神がこう言った
神様は信心深い人にしか現れねえっていうだろ?
それに引き換え俺様は
貧乏人でも、金持ちでも、信心があろうと無かろうと
どんな善人にも、罪人の前にでも
きちっと現れるんだ
そんなに俺を嫌わねえでくれ

死の寛容さが死神のいうように万人のものならば
死は愛よりも人に近しい存在だ
我々を分け隔てなく愛してくれるのは
ひょっとしたら
死神かもしれない

でも我々は愛を持ってはいないから
昨日も今日もそして明日も
無いものをねだって生きている
愛を持たないから
死神だって、死だって
愛することはできやしねえ

遺伝子の二重螺旋は俺と君
どちらが欠けても存在し得ない
二つをつないでいるものを俺は
勝手に愛と名づけよう
愛でなくてもかまわない
君が見ているものと俺が見ているものが
違ったっていいんだ
つないでいるものを
愛と俺は名づけよう

螺旋が作るエナジーは植物の螺旋を経て
銀河の渦を形作る
死が二人を別つといえども
あの銀河の中心で俺達は死ぬことはない
新たに死神を仲人として

つながるということが
距離を越え、時を超え
死すらも超えていけるものだったならば
それを愛だと名づけても
俺はいいって思ってる
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by superkavi | 2007-06-03 20:42 |