悲しさに耐え切れず
なんでもいいから玉葱を剥くことにした
ぽろんぽろん
一皮二皮
ぽろんぽろろん
目が痛い
鍋に玉葱突っ込んで
悲しみと憎しみの下味で
グツグツグツと
心をちぎってバラバラ入れて
目を腫らしながら
ぽろろんぽんと流れ出る
涙も鍋に入れましょう
煮込んで憎しんで悲しんで
元の形が分からなくなるまで
ことことこと
誰にも気づかれないように
そっと蓋
(2003年4月9日の作品)
脳をばらして
君の記憶を捜してみたけど
どーこにもいないんだな
誰だっけ?
僕の胸が開いてその奥から
はずかしいラブソング
ああ
これは君の歌
僕の心を震わせる
この世でたった一人の
ああ、そうだ
君は僕の好きな人
(2003年4月1日の作品)
湧き上がる孤独は癒えることなく
ただ戦いの日々のみがくり返される
傷つきそれでも立ち向かわねば
明日の事すら見えては来ない
なぜここに生きているのか
どうして生まれ出でたのか
そんなことを考えたとて
心の始原なぞ見つかろうはずも無い
ああ、まだ見ぬ人よ
この世に生きてあるのなら
ともに生きてあるのなら
再会の喜びを涙で語ろう
互いの傷口で結ばれよう
それまで僕は
砂を噛んで耐えていよう
~(2003年1月5日の作品)~
泣きたい時は泣けばいい
涙を流せばそのぶんだけ
君は優しくなれるから
そして
少し強くなれるから
涙は美しい水の惑星の
あたたかい贈り物
命を潤す水も
生命を育んだ海も
恵みの雨も
すべては君の涙の中
君の涙は
すべてのもの支えて廻る
~(2003年1月4日の作品)~
感じてごらん
暗闇であっても僕はいる
姿がみえなくても
声が聞こえるだろう
息遣いがわかるだろう
体温を感じるだろう
君がすべての五感を失ったとしても
君が望むならば
僕は君の夢のなかにだって現れよう
君が僕を必要としてくれる限り
たとえ僕の体が朽ち果てても
生きとし生けるものたちの中に
僕を見るだろう
あるいは風となって君に囁こう
雨となって君と共に涙しよう
木漏れ日となって共に微笑もう
荒らしとなって共に怒り狂おう
月光となって君を抱きしめよう
君がそれを望む限り
僕が消えてなくなることは無い
~(2002年7月25日の作品)~