詩・その他


by superkavi

言葉を線路に置き去りにした
電車に踏まれてさようなら
踏まれたものも踏んだものも
誰も気づきやしないけど
俺は言葉を失った


便器に向かって言葉を出した
それた言葉が寂しく零れた
だって男の子だもん
不潔と罵られたって
そんな日もある


いたたまれずに酒を飲む
飲みたいものは違うのに
ガソリン投下、罵詈雑言
燃えるなら君にだけ
と思うのに


むかし埋めた言葉探して
そこかしこを掘り返す
穴に嵌るだけで何もない
そう、なにもない
なにもないんだ


言葉がなけりゃ戦争は、もっと少なかったろう
形なきものに縛られて
売り言葉に買い言葉、同じ人が殺し合う
命がその対価というほどには
言葉に価値なんてありゃしないのに


逸る呼吸と高鳴る鼓動
それだけあれば君に伝わる
言葉なんていらない
幾千万の言葉をついでも
一言で潰されてしまう言葉より


置き言葉をしても脱線はしない
言葉がそれたってトイレは汚れない
言葉を燃やし尽くすなら酒でないほうがいい
思い出なんて忘れてりゃいい
言葉に縛られるのならいっそ
俺は君に縛られたい


証にすれば罵られ
言葉にすれば責められて
君を見失うよりも
届いて欲しい
サイレント・ヴォイス
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# by superkavi | 2007-07-16 01:54 |

金色の夢の日々がついえ、「絶望」さえも滅ぼす力を失ったときに、わたしは知った。

喜びという支えがなくとも、生をいつくしみ、力づけ、養うことができるのを。


~(小野寺健「心にのこる言葉」より)~
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# by superkavi | 2007-07-04 15:31 | 言葉のエナジー

五輪真弓『恋人よ』より


恋人よ そばにいて

こごえる私の そばにいてよ

そしてひとこと この別れ話が

冗談だよと 笑ってほしい
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# by superkavi | 2007-07-03 03:31 | 言葉のエナジー

哀しみ皇子(4)


ぼくは哀しみを探索する哀しみ皇子

涙を宝石にする職人のオジサン家に泊めてもらって
涙のそうりょうはこの星だ
というオジサンの話を聞いている途中なの
哀しみ皇子だけど、涙の話なのは勘弁してね

「ずーっと、ずーっと、この先にいけば、海というのがある」
ぼくは海を名前だけしかしらない
オジサンはご機嫌だ
琥珀色がそうさせるのか、自分のはなしに酔っているのか
ぼくにはわからないけれど
「あれはね、実は涙なんだ」
海が涙?誰の?どうして?
「だから・・・・たとえば君がこの、涙の宝石の中にいて、涙を流したとしても
総量はかわらないだろ?」
うん
「それと同じなんだ
だから、海に行ったら舐めてごらん、涙の味がするからさ」
じゃあ、オジサンは海があれば、宝石をいっぱい作れるんだね
「無理だよ、皇子
言ったろう?優しさが加わらないと涙は宝石にはならないのだと
いや、そもそもこの星はすでに宝石なんだよ」

じつはオジサンは、本当はすごい人なのかもそしれない
哀しみがオジサンになつくのも、ちょっと悔しいけどわかる気もしたりしなかったり
オジサンの口から飛び出した音が符踊っている
なぜかぼくにはそれが、(シミジミ~シイジミ~)と鳴く、哀示美鳥の声に聴こえた

でもさ、オジサン
海ってさ、液体とかいうやつじゃない?
だからさあ、宝石って言えないんじゃないかって、ぼく思うのだけど
オジサンはどこか遠くを見ている
甲羅の入ったグラスは空っぽで、ついでに心も空っぽみたい
ぼくも甲羅を啜ってみるよ、未来の味だなんてオジサンはロマンチスト

「皇子、この星の中に俺たちがいるから、海が液体に見えるのだとしたら?」
オジサンはゼンマイを巻かれたおもちゃのように、突然に目覚めて言う
そんなこと言われてもねえ・・・ぼくには難しいな
「じゃさ、これならわかるかな
じつはこの星を宝石に変えたのは、俺のご先祖様だ」

またあ

「ウソじゃないって
ずーっと大昔に、この星が恋をしたんだ」

え?相手は?

「あの月さ」
ぼくは腰が抜けるという言葉の意味をはじめてしったよ
あ、抜けてはいないけど、ごめんなさい、ウソつきました
「この星はあの月が好きだったけど、どうしても振り向いてもらえなくってね
そのころのこの星は、今みたいじゃなくて
こんなに近くに二人はいるのにって、泣いたそうだ
それが海になって、いろんな生き物が生まれたわけなんだけど
ご先祖はその話を聴いてな、哀れに思ったから、この星を宝石に変えてあげたらしい
だから、この星は丸いし、その美しさに気がついたあの月が、ずっとこちらを見るようになったってね」

とうさんがよく、かあさんに、大人の本とかいうのを隠していて
見つかったときに、(言葉を失ったよ、とうさんは)なんて、ぼくに話してくれたけど
今日、ぼくは初めて言葉を失うという、とうさんの気持ちがわかったよ

でもオジサン、いくらなんでも、海は海なんじゃあないかなあ
「皇子、君は見たろう?俺は涙という液体を宝石に変えられるんだよ」

ぼくはオジサンに寝床を用意してもらって
この手紙を書いています
とうさん、かあさん

涙がこの星で、この星は宝石で、この宝石は美しいということなら
そこに住むぼく達も涙で、この星そのもので、そして美しい宝石ってことなのかな?

もう、涙を宝石に変えられるオジサンは、オジサンだけなんだって

なんだか、むしょうに、ぼくはとうさんとかあさんに会いたいよ
なんだか泣けてきちゃって、いっぱいあるハンカチーフで涙をちょっと拭いたよ
それを明日は、オジサンに宝石に変えてもらうね

おやすみ
大好きなとうさん、かあさん
また、手紙書くからね
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# by superkavi | 2007-07-01 13:25 | 哀しみ皇子

哀しみ皇子(3)


ぼくは哀しみを探索する哀しみ皇子

涙を宝石にするっていうオジサンのところでお泊りなの
しごとが終わってオジサンは
「皇子、ここに座りなさい、飲み物を出してあげよう」
なんだか、琥珀色の飲み物をだしてきてぼくにいう
オジサンこれは?
「甲羅(こうら)、という名の飲みものさ」
ええ!あのカメの?
「あははは、カメから作ったわけじゃないよ
カメの甲羅から作った鼈甲(べっこう)というのに色が似ているらしくてね」
オジサンは笑いながら、ぼくの甲羅にストローをさしてくれた
ちょっとしたことがやさしいオジサンだ
きっと悪い人じゃないんだろうな
ぼくは一口飲んでみた
うわーーーー、なんだ、この味?まずくはないけど
「皇子にとっては、未来の味だからね、まだ早かったかもしれないな」
オジサンはぼくを見てやさしく笑った
未来の味?なんのことだろう
ねね、あのさあ、そういえば
涙のそうりょうってなにさ?ぼくはオジサンに聞いてみた
オジサンは「甲羅」をラッパ飲みしては
口から音符をはきだしてご機嫌だったよ
「その前に、皇子、抱えた哀しみをテーブルに乗せなさい
その子にもいいものをあげよう」
ぼくはいわれるままに、哀しみをテーブルに乗せた
よくみていると、コイツ、元気がない、というか濁ったかな?
「さあ、これをお食べ」
オジサンは小さなオルゴールを哀しみにあげた
哀しみの真ん中にオルゴールは沈んでいって、そこで音をだしている
みるみる哀しみが元気になって、なんかキラキラしてきた
不思議だなあ
「たまには、こうやってやらないと、哀しみだって歪んじまう」
オジサンは哀しみを撫でてあげた


シミジミ~シミジミ~

姿は見えないけど、表で哀示美鳥が鳴いているみたい
よかった、まだ、置いてけぼりじゃなかったみたい

哀しみは、オジサンになついている
失礼しちゃうな、ぼくは哀しみ皇子なのにさ

オジサンは、どこか遠くを見ているようだった
酔っているの?甲羅ってお酒じゃなかったよね?
「琥珀色を飲んで酔わない奴は大人ぢゃないさ」
オジサンは口から音符をはきながら、ごきげんそうにいう
「皇子、涙の総量はね、じつはこの星そのものなのさ」
え?よくわからないよ、オジサン
「これは、俺のじいさんのじいさんのじいさんのじいさんの、そのまたじいさんぐらいからの言い伝えらしいけどな」
ものすごく昔から、ということだけは、わかった

とうさん、かあさん
大人の話は、前置きってやつが長いね
話はまだつづくみたいだけど
ぼく
書くのにつかれちゃったから
また、手紙にかくね
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# by superkavi | 2007-06-27 12:58 | 哀しみ皇子