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詩・その他


by superkavi

『魂の牢獄で』


男は魂の牢獄で一人 
鉄格子の窓から月明かりだけが

自分は何をしてきたのだろう
ずっと捜し求めてきた 
叫んできた愛が
今ほど遠く感じたことはない

つながれた男は孤独で 
すでに若くもなかった
世界の暗闇の中で魂の牢獄に囚われ
自分の人生の徒労を嘆く

詩に織り込んでもそれは届かず
心から与えても相手には響かず
こうして一人牢獄に 
無力に零れた涙一筋

そっと差し込む月光が頬を撫でる 
窓からかすかに風が囁く

牢獄の片隅でクモがこう語る
ここは魂の牢獄 
ではおまえのいままではどうなのだ
嘆くおまえの人生と 
この魂の牢獄になんの違いがあるというのか
おまえの心が 魂が 絶望が作り出す牢獄 
ただそれだけのこと
わたしが自ら吐き出す糸の上を 
自由に行き来するように
おまえも心の自由を得るがよい


涙に濡れた男の瞳に一筋の月明かり 


手には届かなくとも見ることはできる
こらえ、信じて、それでも愛が遠くても駄目でも
それでも耐えてひたすらに
月光の中に身を置くように 
愛の光に身を横たえよう

魂の牢獄にいても
そこから抜け出ても
愛がなければどこも牢獄なのだから 

この牢獄の中でさえ月の光が差すと気づいたように
牢獄に自らをつなぐのは 
自分自身なのだということを
by superkavi | 2007-06-09 15:08 |